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Investor Relations

CEO Comment Vol.51 『新株式発行と新メディアインキュベーション戦略の始動』

 6月30日に決議しました公募による新株式発行が、おかげさまで無事終了したことをここに改めてご報告いたします。また本日、平成23年6月期業績予想を再度上方修正いたしました。

 業績内容の詳細は、8月11日の決算発表及び翌12日の決算説明会でご説明する予定ですが、3月の震災直後に一時的に落ち込んだインターネット広告の販売及びEコマース決済が急速に回復し、予想を上回る結果となる見込みです。年間を通じて、B向けソリューションの広告と決済ベースのハイブリッド・ソリューション事業が牽引し、加えて、グローバルに急成長を続けているソーシャルメディア関連マーケットとバリュエーション急騰の追い風を受けてベンチャー・インキュベーション事業が復活をし始めています。この結果、営業利益は、前年比約10億円の増益、経常利益は、同約14億円の増益となり、中期計画1年目の期初予想を上回ることができると考えています。

 一方で、2000年の株式上場以来、初めての公募増資(オーバーアロットメントによる第三者割当増資を含む)を実施し、投資家の皆様より調達した資金額は80億円程度となる見込みです(正式には後日改めてご報告いたします)。今回の増資目的については、新株式発行及び株式売出しに関するお知らせに記載のとおりでありますが、現在進行中の中期計画実現の戦略実行のために不可欠なものであり、かつ、長期的な企業価値向上をもって株主・投資家の皆様のご期待に応えていきたいと役職員一同身を引き締めて事業拡大に取り組んでまいります。ソーシャルメディアの台頭は、既存メディアの代替にとどまらず、予想を超えた発展を遂げつつあり、DGは、ソーシャルメディアをコアに新たなコンテクストを創っていきます。

 また、今回の増資で得た資金を有効に活用するために、「次の10年」に向けた足がかりとなるプロジェクトにも着手しました。キーワードは《新規メディアの創出と世界展開》です。

価格コムTwitterに続きDGグループの将来を担う新規インターネットビジネスを次々に生み出すことを目的として、2011年7月1日に組織変更を実施しメディアインキュベーション本部を新設しました。これまでグループCTOとして技術部門を統括してきた取締役の安田幹広が本部長に就任し、新規メディアの開発を総責任者として牽引します。海外の有望なインターネットビジネスの日本への導入支援に加え、自社開発の新サービスの国内での立ち上げと、その海外展開も視野に入れます。第一弾として、先日、昼食会を通じてさまざまなユーザーとランチタイムを共有できるサービス「昼会」(http://www.hirukai.jp)のβ版の提供を開始しました。今後も、続々と新サービスを投入していく予定です。

 世界展開の足がかりとして、2011年7月にDigital Garage US, Inc.(DGUS)を米国法人として設立しました。サンフランシスコに拠点を構え、世界を舞台にした事業展開の準備を始めています。DGUSの立ち上げに際し、その事業の中核を担う人材として2011年8月1日にIan McFarland氏が合流しました。安田本部長の直下でグループCTOとして、DGグループ全体の技術部門の統括にも当たります。McFarland氏はこれまで、Google社やTwitter社などの大手インターネット企業を対象にソフトウエア開発手法のコンサルティングを行っていることで知られているPivotal Labs社で、プリンシパル 兼 技術担当副社長を務めていました。

 McFarland氏を軸に、DGUSでは主に二つの事業目標を掲げます。一つは海外投資事業の強化です。弊社がこれまで培ってきた、著名投資家であるRon Conway氏を筆頭とするサンフランシスコ、シリコンバレーの投資家とのネットワークに、McFarland氏が持つエンジニアを中心としたネットワークが加わることで、有望な投資案件に関する情報をこれまで以上に迅速かつ広範に得ることが可能になります。なお、既にご報告しておりますように、Ron Conway氏が顧問を務めるアーリーステージのスタートアップ企業を対象としたファンド「SV Angel」には、子会社の株式会社DGインキュベーション を通じて日本からは唯一の出資を終えております。

 もう一つが、最先端のインターネット事業が続々と導入している、ソフトウエアのアジャイル開発を中核とした新事業の立ち上げです。ソフトウエアの開発と検証を非常に短いサイクルで繰り返しながら、短期間で品質の高いサービスを構築するアジャイル開発手法は、McFarland氏が在籍していたPivotal Lab社などが普及を推進してきました。進化の早いインターネットビジネスでは、アジャイル開発手法の導入によって、外的環境の変化に機敏に対応することが常識になりつつあります。DGUSでは、こうしたアジャイル開発のノウハウを、自社サービスの開発や、投資先のサービスの開発に応用することで、収益性を高める計画です。

 米国西海岸に拠点を置くDGUSと、弊社共同創業者の伊藤穰一が所長に就任した東海岸のMIT Media Labを有機的に結びつけることで、世界を舞台にした縦横無尽な事業展開の足場を確保することが可能になります。こうしたネットワークを活用して、メディアインキュベーション事業をこれまで以上に活性化させることによって、今回の増資をDGグループのさらなる飛躍につなげる所存です。米国発の信用不安による円高で不透明な経済環境が続いておりますが、投資という視点でとらえれば、こうした環境はむしろチャンスとも受け取れます。

 株主・投資家の皆様には、是非とも今後のDGグループにご期待いただきたいと同時に、引き続きご指導・ご支援を頂きますようお願い申し上げます。