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本日の取締役会で承認の上、DGグループでオンライン決済事業を担う子会社の香港econtext ASIA Ltd.と株式会社ジェーシービー(以下、JCB)との資本業務提携に関する基本合意書を締結しました。2月に発表した三井住友カード株式会社(以下、SMCC)、3月に発表の株式会社クレディセゾン(以下、クレディセゾン)との資本業務提携に続く今回の発表で、DGグループは日本を代表するクレジットカード会社3社と決済事業でタッグを組んだことになります。 以下、一連の提携に至った背景についてアップデートさせていただきます。
3社との提携の目的には3つの側面があります。
一つ目は、われわれがクレジットカード会社と共に日本で培ってきたオンライン決済ソリューションのノウハウを成長著しいアジア諸国で一気に展開することを通じて、市場をリードするポジションを獲得することにあります。このためには、日本を代表するクレジットカード会社との連携が不可欠でした。今回提携に至った3社がそれぞれアジア市場で展開している事業とのスムーズな連携が可能になるためです。
アジアの新興国のインターネットビジネスを取り巻く環境は、10年ほど前の日本に近い状況にあります。例えば、有望な市場と言われているインドネシアでもeコマース市場の規模は現在の日本の85分の1(*)にすぎません。しかし、スマートフォンやソーシャルネットワークに代表される新たなテクノロジーやサービスの下、アジアのネット新興国のインターネットビジネスは、日本が10年かけて成長してきた足跡を数年でたどるほど急成長すると言われています。そこには大きなビジネスチャンスがあります。
*2011年のインドネシアのEC総額は調査会社フロスト&サリバン調べで10億ドル(約1,000億円)に対し経済産業省発表の日本のEC市場規模は8.5兆円。
日本のインターネットビジネスの黎明期からオンライン決済を牽引してきたベリトランスと、日本オリジナルのeコマース向け決済サービスとしてコンビニ決済を先導してきたイーコンテクストというDGグループで決済事業を担う2つの子会社は、世界の中でも特に高い品質のサービスを要求する日本のユーザーに対しオンライン決済を10年以上提供してきた経験を通じて、高水準の技術とノウハウを蓄積しています。こうした蓄積を成長著しいアジア市場での事業展開に活用することを目的に設立したecontext ASIAにとって、日本で共にオンライン決済ソリューションを培ってきたクレジットカード会社それぞれとの連携を通じた、いわばオンライン決済の日本コンソーシアムともいえる体制の組成は欠かせないものと考えました。日本で蓄積した技術やノウハウは活用しながらも、日本市場向けの決済ソリューションをそのまま持ち込むのではなく、アジアの国や地域の文化に寄り添う決済事業を展開することを通じて、各国のeコマース市場の成長をさらに加速する役割を担うことができればと考えています。
提携の二つ目の目的は、DGの有する北米を中心にしたグローバルネットワークを活用して発掘した有望なスタートアップ企業が開発する最先端の決済ソリューションや決済テクノロジーを、今回提携したクレジットカード会社3社と連携を図ることで、日本やアジア諸国に広めていくことです。
スマートフォンの急速な普及などをきっかけとし、決済サービス市場は大きな転換期を迎えています。これまではeコマースが生活者の消費行動に占める割合が小さかったことから、ここに商機を見いだすプレーヤーはオフラインのコマースに比べてそれほど多くありませんでした。しかし、このところの急速なeコマース市場の拡大により、これまでの決済サービス事業者やクレジットカード会社、携帯電話事業者に加えて、Google社やApple社といったグローバルプラットフォーマーからIntel社のような半導体メーカーに至るまで、さまざまな企業が決済サービス市場に参入する「決済大航海時代」に本格的に移行してきました。Square社に続けとばかり、スマートフォンにクレジットカードリーダーを接続してクレジットカード決済を実現するサービスの提供会社が乱立していることが、こうした時代の幕開けを象徴しています。
こうした中で、日本に限らずアジア諸国において決済サービス市場でパイオニアとして業界を先導するためには、ベリトランスとイーコンテクストの両事業と日本から世界へと進出しつつあるクレジットカード会社3社の戦略的かつ補完的な協力関係が重要になると判断しました。この協力体制から、世界規模のプレーヤーと渡り合える決済ソリューションを生み出すことがわれわれのもう一つの狙いです。
三つ目は、デジタルマーケティング事業への応用です。昨年末にDGは電通との資本業務提携を発表しましたが、その目的は電通の持つ膨大なビジネスインテリジェンスとDGグループの保有する決済/メディアデータを活用した、デジタルマーケティング事業の展開にありました。電通が広告事業を通じて収集したビジネスインテリジェンスに、DGグループが有する決済データや、グループ会社である株式会社カカクコムの保有するショッピングデータなども含めることで、DG グループは日本でも有数のビッグデータを利用することが可能となります。また、さまざまな国や地域において今回資本業務提携を行ったクレジットカード会社3社と連携することも視野に入れていきます。こうした連携体制を敷くことで、データを有効活用した事業をまずは日本で展開しノウハウを得た後に、econtext ASIAが事業を展開した各国で蓄積していくeコマースのショッピングデータにこれを応用していく予定です。特定の国や地域での売れ筋や消費傾向、更には消費者の嗜好を分析出来るプラットフォームを築けば、既に日本で事業展開しているEC事業者にとって、アジア諸国に展開するための強固な足がかりとなります。
今後DGは、3社との資本業務提携に留まらず、DGグループとして日本を代表する企業との決済コンソーシアムを創出しアジア進出を共に検討する企業とのアライアンスを更に進めていきたいと考えています。そして、日本で培った各社のノウハウを活かすことが、アジア各国のeコマース市場の発展ひいてはDGグループと戦略パートナー企業のグローバル視点での成長に大きく寄与できるものと確信しています。
株主・投資家の皆様には、引き続きご指導・ご支援を頂けますようお願い申し上げます。