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Investor Relations

CEO Comment Vol.66 『2019.3月期第1四半期決算サマリー』

 本日の取締役会での承認の上、2019.3期第1四半期決算短信を発表しました。以下が2019.3期第1四半期決算サマリーとなります。

Ⅰ. 2019.3月期 第1四半期決算サマリー

■全体概要
 2019.3期第1四半期は、売上高前年同期比17%増の15,335百万円、税金等調整前四半期純利益(税引前利益)同66%増の3,039百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益同49%増の1,887百万円と計画を上回り大幅な増収増益を達成することができました。DGが重要視する税引前利益の年間予想9,000百万円に対する進捗率は34%と高い進捗で推移しています。

■事業セグメント別概況
 MT(マーケティングテクノロジー事業)は、金融業界向けにパフォーマンスアドが好調に推移したものの、戦略的な人材投資やデータ関連ビジネス等新プロダクト開発を先行させたため45%税引前利益減益となりました。一方で、FT(フィナンシャルテクノロジー事業)は、注力中の対面決済領域やC2C決済、公金領域において大幅に取扱高が増加し22%税引前利益増益と業界を上回る好調が続いています。IT(インキュベーションテクノロジー事業)は、海外、特にアジアエリアでのexit(株式売却)が進捗し、税引前利益は前1Qの-108百万円から656百万円と全体の利益拡大をけん引いたしました。LTI(ロングタームインキュベーション事業)は、引き続き持分法適用関連会社のカカクコムの業績が順調に推移したこと、一部株式の売却益が実現したことから大幅な増益となっています。

Ⅱ. 最近の事業ハイライト

 以下、最近発表した主要プロジェクトについて、その概要と目的をご説明します。

1 <ブロックチェーンを活用した新たな金融事業の開始>
 DGが強みとするフィンテック分野では、戦略パートナーであるBlockstream社との協業を通じて進めてきた、ビットコインで使われるブロックチェーンを利用した事業展開がいよいよ本格化します。

DG Labは、MITメディアラボのDigital Currency Initiativeに参加し、デジタルカレンシーの研究開発を行ってきました。並行してDGと東京短資は2017年11月の協業提携に基づき、Blockstream社の技術をベースに実証実験を推進してきました。それらの成果を踏まえて、ブロックチェーン金融サービスの研究開発と事業化を目的とした合弁会社「株式会社Crypto Garage」を東京短資と合弁で設立することを7月に発表しました。東京短資は、これまで100年以上にわたって銀行間取引市場・オープン市場において主として仲介・媒介業務に取り組んできた、金融取引市場の要諦を握る企業です。

 今回合弁で設立するCrypto Garageは、Blockstream社が開発した基盤技術を利用しながら、ブロックチェーン技術や暗号技術を活用した高度な金融サービス・ユースケースに関する研究開発を加速させ、黎明期である仮想通貨・ブロックチェーン領域にイノベーティブなサービスを本格的に展開するための技術開発を推進していきます。

 これまでは、ビットコインの投機的な側面ばかりがスポットライトを浴びてきましたが、ブロックチェーンの本質的な特徴を活用したビジネスが商用化の時期を迎えることを実感しています。日本発の世界を代表する金融サービスをCrypto Garageから生み出し、ブロックチェーン業界での新たな市場を確立していくことを目指します。

2 <KDDIとの戦略的なプロジェクト始動>
 先日の発表の通り、DGのLTIセグメントの主要会社である株式会社カカクコムがKDDI株式会社と資本業務提携を行いました。あわせてDGは、KDDIと来るべき5G(第5世代通信)時代を見据えた新規事業の共同開発を目的とし、戦略的提携を進めることについて基本合意しました。本合意に基づきKDDIは、オープンイノベーション型の研究開発組織であるDG Labに、新たなコアパートナーとして参画します。今後は、DGとKDDIの両グループが有するアセットを活用し、DG Labの研究成果を社会に実装することで、さまざまな領域で新規事業を創出していきます。具体的には、現在スマートシティプロジェクトを準備している渋谷や札幌、福岡といった拠点において、双方のグループが培ってきた研究成果を組み合わせ、第5世代通信上で動く様々なアプリケーション・コンテンツ、AR/VR、AI、ブロックチェーン周辺で生まれる次世代型のビジネスモデルの構築を目指します。

 また、「データサイエンス」と「ソーシャルメディアマーケティング」の2つを軸に事業を展開してきた子会社のBI.Garageと、KDDIグループが行っている類似のサービスとの協業を通して、カカクコムが有する価格.comや食べログ等のメディアやサービスに関わるデータ、DGのFTセグメントが有する決済データ、KDDIグループの通信や自動車、生活インフラに関わるIoTデータをかけ合わせた新しいデータマーケティング型事業も検討していきます。このほか、KDDIを含む戦略パートナーと連携したインキュベーションプロジェクトも現在準備中で、今秋にもその概要を発表する予定です。

3 <Open Network Labの横展開/スタートアップ育成事業の領域拡大>
 日本有数の起業家支援プログラムとして評価を得ている「Seed Accelerator Program」を展開するOpen Network Labは、8年間におよぶこれまでのプログラムで培ったインキュベーションのノウハウを元に、より多くの起業家を支援すべく活動範囲を拡大しています。

 農業や水産業とIoTを組み合わせた次世代の1次産業や、インバウンド需要を追い風とした観光産業を支えるスタートアップなどの支援を目的として4月に「Open Network Lab HOKKAIDO」を立ち上げましたが、北海道内外からプログラムへの参加を希望する多くのスタートアップから申し込みがありました。すでに第1期の参加チーム6社を選定して、10月のデモデイ(成果発表会)に向けプログラムを始動しています。7月には北海道における「オープンイノベーション」により一層コミットするため、北海道新聞との合弁で「D2 Garage」を設立しました。北海道内に拠点を置くスタートアップへの出資や、起業家発掘イベントの運営支援などを通じてスタートアップシーンの活性化を目指します。

4 <バイオヘルス領域での新たな2つのプロジェクト>
(1)バイオヘルススタートアップ育成事業で大手21社とのコンソーシアム組成
 バイオテクノロジーとヘルスケア領域でのスタートアップ育成とオープンイノベーションの推進を目的とした「Open Network Lab BioHealth」も、大手製薬メーカーや医療関連企業など21社の協賛を受けて5月から開始しています。バイオや医療分野のスタートアップ育成プログラムは、サンフランシスコやボストンなど米国では一足先に始まって成果を生んでいますが、Open Network Lab BioHealthは、日本初の本格的なバイオテクノロジー・ヘルスケア特化型のプログラムとして、多くのパートナー企業と連携しながら活動を本格化させます。7月末の募集締め切りまでに50チーム以上から応募があり、9月のプログラム開始に向けて現在参加チームの選定を進めています。

(2)バイオヘルス領域での資本参加と事業連携
 バイオテクノロジー・ヘルスケア領域では、Open Network Lab BioHealthのパートナーでもある株式会社ウェルビーと資本業務提携しました。ウェルビーはPHR(Personal Health Record)サービスを提供する日本有数の企業として、様々な疾患領域の患者を対象とした、治療支援デジタルサービスの提供を行っています。また今回の資本業務提携に伴い、DG取締役 共同創業者の伊藤穰一がウェルビーのアドバイザーに就任しました。

 今後はウェルビーをゲートウェイとしながら2社で、個人が保有する健康・医療情報のアグリゲーション事業を開始します。具体的には、予防医療や健康ポイントなどのサービス提供を見据え、ブロックチェーンとAI技術を基盤としたPHRプラットフォームの構築を計画しています。さらには地方自治体、国保・健保、医療機関、介護事業者、薬局、保険会社・製薬会社、健康関連事業者らとPHRを連携させることで、個人を中心とした健康・医療情報のプラットフォームを構築する予定です。

 Open Network Lab BioHealthやウェルビーとの協業などを通じて、DGグループが展開するバイオテクノロジー・ヘルスケア事業が今後、日本だけでなく、アジア、そして世界の医療発展の一助となることを目指します。

 引き続き、DG Labを起点とするオープンイノベーション型ビジネス創造と、安定成長期に入ったリカーリングなFT、そしてMTと、IT/LTIとOnlabという投資育成型ビジネス、これらの各カテゴリーにおけるビジネスのバランスを最大化し、グループ全体としても共鳴するDGらしいオープンイノベーション型企業経営を目指していきます。

 今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。