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Investor Relations

CEO Comment Vol.75 『2022.3月期第3四半期決算サマリー[IFRS](連結)とフィンテックシフト』

第3四半期累計は過去最高益を更新、東芝テックに続きJCBとの資本業務提携で【DGフィンテックシフト】を加速

本日の取締役会の承認を受けて、2022年3月期第3四半期決算短信[IFRS]を発表いたしました。

Ⅰ. 2022.3月期第3四半期決算サマリー/ DGグループオーバービューとFTセグメント

 2022.3月期第3四半期連結累計期間(以下、3Q累計)は、収益52,888百万円(前年同期比84%増)、税引前四半期利益33,679百万円(同3.6倍)と大幅に過去最高益を更新いたしました。また、全セグメントとも前年同期比増益を達成することができました。フィナンシャルテクノロジー(以下、FT)事業の決済取扱高が引き続き好調に拡大したことに加え、インキュベーションテクノロジー(以下、IT)事業において、2Qに続き投資先公正価値が大幅に上昇したことによります。マーケティングテクノロジー(以下、MT)事業は、主力のデジタルプロモーション事業が、金融関連を中心に引き続き伸長しました。ロングタームインキュベーション(以下、LTI)事業では、㈱カカクコムの業績が回復基調となりました。

 次に、FTセグメントにフォーカスしたスライドをご覧ください。

 FTセグメントの決済取扱高、件数は、ともに二桁成長が継続しており、EC決済に加え、注力中の対面決済についてもDX化の波を受け順調に成長しています。一方、急伸する決済トランザクションを安定的に支える最先端のシステム投資を継続しましたが、これらのコストを吸収し、FTセグメントの税引前四半期利益は、前年同期比 1Q +9%、2Q +3%でしたが、3Qは +11%と二桁増収増益へと回復しています。

 併せて、戦略パートナー企業との提携により、【DGフィンテックシフト】を加速しています。昨年のFT新マーケットへの参入施策である暗号資産事業での野村HDとの資本提携、当社の主力領域でのマーケットリーチ拡大施策として、12月の東芝テックとの資本業務提携に続き、今回、国内最大級のネットワークを有するクレジットカード業界のマーケットリーダーであるJCBと資本業務提携を発表させていただきました。(詳細はⅡをご覧ください)

 以下、セグメントレビューとなります。

<FT>フィナンシャルテクノロジー事業

〜 FTセグメントの3Q累計決済取扱高は前期比17%増と好調に推移 〜
 FT事業の3Q累計収益は8,005百万円(前年同期比10.1%増)、うち、主力決済事業は前年同期比13%増と好調に推移しました。システム安定稼働と拡充のための開発投資を継続し、3Q累計税引前四半期利益は3,492百万円(同7.7%増)となりました。また、3Q(10月-12月)税引前四半期利益は、同11%増の1,264百万円と二桁増益を達成いたしました。
 決済取扱高は、2兆6,596億円(同17%増)、決済取扱件数は、5億3,422万件(同10%増)と、二桁成長が継続しています。EC決済取扱高は、2兆4,621億円(同14%増)、注力中の対面決済取扱高は、1,975億円(同67%増)となり、全取引高に占める割合は7.2%と前年同期に比べ2.1ポイント上昇しました。対面決済は、国内QRコード決済が大幅に拡大しており、また、DG独自のマルチQRコード決済「クラウドペイ」も好調に推移しております。業種別では、依然としてコロナ影響はありましたが、アプリ決済のオークションやデジタルコンテンツ等の巣ごもり系消費が順調に拡大し、旅行・交通系もボトムからの回復基調にあります。

<MT>マーケティングテクノロジー事業

〜 MTセグメントはデジタルアド取扱高が14%増と順調に伸長 〜
 MT事業の3Q累計収益は、9,406百万円(前年同期比1.5%減)、3Q累計税引前四半期利益は488百万円(同6.5%増)となりました。主力のデジタルアド取扱高は、223億円(同14%増)、特に当社が得意とする金融関連の取扱高は、131億円(同28%増)と、順調に伸長しました。一方で、CRM等アプリ受託開発の減少により減収となりましたが、次世代DXソリューションの先行投資等によるコスト増を吸収し増益を確保しました。

<IT>インキュベーションテクノロジー事業

〜 営業投資有価証券残高は前期末比で41%増加の667億円と大幅に伸長 〜
 IT事業の3Q累計収益は、21,237百万円(前年同期比2.7倍)、3Q累計税引前四半期利益は、20,116百万円(同2.9倍)となりました。2Qに米国Blockstream社の2.1億ドルの大型資金調達により大きな公正価値評価益を計上いたしましたが、3Q(10月-12月)においても、投資ポートフォリオの公正価値が上昇し、総額44億円の営業投資有価証券収益を計上することができています。

<LTI>ロングタームインキュベーション事業

〜 カカクコムの業績回復基調 〜
 LTI事業の3Q累計収益は、3,429百万円(前年同期比8.6%減)、税引前四半期利益は、1,983百万円(同37.0%増)となりました。
 持分法適用会社である㈱カカクコムは、食べログ事業の回復や求人サイトなどの新興メディア・ソリューション事業が好調に推移しています。

Ⅱ. 野村HD、東芝テックに続き、JCBとの資本業務提携で【DGフィンテックシフト】を加速

 本日「JCBと資本業務提携」を発表しました。デジタルガレージは現在、グループ戦略【DGフィンテックシフト】のもと、決済とデータ事業に関わる様々な付加価値ビジネスの開発に取り組んでいます。JCB社とは長年のパートナーとして、クレジットカード決済事業やそれを支える日本最大級のカード決済基盤であるJCN(日本カードネットワーク社)等、日本の決済基盤とインターネットの融合を黎明期より牽引してきました。デジタル庁の本格的な幕開けとともに、クレジットカードやマイナンバーと連携した様々な次世代Fintechが生まれています。今回の資本業務提携を通じて、両社の保有するデータや次世代Fintech周辺のテクノロジーを融合し、さらなる日本のDX発展に寄与・貢献していきたいと思います。
 業務提携の主な内容は以下の通りです。
 1)決済インフラ連携及びキャッシュレス加盟店開拓の相互協力によるさらなる決済事業の拡大
 2)次世代決済・フィンテックマーケティングサービスなど、加盟店やカード会員を対象とした新たなサービスの協創
 3)両社の開発体制や顧客基盤を活用した、マーケティング事業およびR&Dにおける新規事業開発・サービスの協業展開
 現在、DGグループが国内外の様々なテクノロジーを活用したFintechプロジェクトとJCBのネットワークを融合するべく、最終的な検討にはいっております。具体的なプロジェクトに関しては、詳細が決まり次第、別途発表いたします。

 DGグループは約1年前に、決済とデータを融合したグループ戦略【DGフィンテックシフト】を標榜してから、Crypto Garageの暗号資産交換業者登録の完了、野村ホールディングスとの資本提携/暗号資産ビジネスプラットフォームの共同開発、東芝テックと資本業務提携/リテール市場のキャッシュレス推進とDX化を共同推進など、さまざまな戦略パートナーと一緒に取り組みを加速してきました。

 来期に向け計画している新戦略事業群と、さまざまな領域の戦略パートナーと次世代DXビジネスを実現していく【DGフィンテックシフト】を推進していきます。

Ⅲ. 取締役共同創業者伊藤穰一の執行役員Chief Architectの就任とLab設立に関して

 ~ Web3、NFT、第4世代AIなどを中心に次世代テクノロジーと事業を研究開発、社会実装するLabを準備中 〜
 取締役共同創業者の伊藤穰一は、創業からMIT Media Lab所長就任期間をはさんで現在まで、取締役としてDGのグローバルテクノロジーに関する意思決定の重要な羅針盤の機能を果たしてきました。
 この度、米国ボストンから日本に拠点を移すにあたり、執行役員Chief Architectに就任し、DGを中心にした次世代テクノロジーのArchitectデザインを担当してもらいます。伊藤穰一は、世界のインターネットリーダーの一人として、テクノロジー、政治、法曹界、アカデミア、NPO、オープンソースコミュニティなどをネットワークし、日本人として稀有な存在です。2005年からDGが主催する、国内外の最新テクノロジー動向をテーマとした『THE NEW CONTEXT CONFERENCE』ではメインホストを務めています。昨年は、『Earthshot』をテーマとし、Whole Earth Catalogの創刊者であるスチュアート・ブランド氏や、慶應義塾大学の村井純先生をはじめ、当時のデジタル改革担当、行政改革担当、環境大臣の方々にもご参加いただき、ESG時代の新たなコンセプトを発信するイベントとして進化、成長してきています。今年は春と秋の二度、Web3*1、NFT*2、OSS*3をテーマとして開催する予定です。
 また、DGと最近スタートした 『Joi Ito’s Podcast – 変革への道』は、Web3、NFTなどを取り上げ、国内外から予想以上の熱狂的な反響を得ています。今後、昨年就任した千葉工業大学の変革センター長としての活動やDGのChief Architectとしての活動、また、当社の『Earthshot TV』(BSテレビ東京・YouTube)やオウンドメディア『DG Lab Haus』、そして様々な出版物と連携を深めていきます。そして、産学官連携を通して、次世代DXにおけるArchitectデザインのムーブメントの中核としてのDGの貢献について、日本から世界への発信を予定しています。
 別途、正式な発表を予定していますが、Chief Architectの伊藤穰一を中心にグローバルなコミュニティと連動した次世代Labの開設を準備しています。コンセプトは【Web3にともなうNew Architect Design】、勃興するNFTを中心として、OSSを活用した個人情報やセキュリティに最大限配慮したPrivacy Enhancing Tech、第4世代AIによる次世代データサイエンス事業などにフォーカスします。国内有数のフィンテック企業群、Open Dataを活用する行政、国内外のアカデミアが集まり、次世代データ社会の共創を目指します。

 最後になりますが、今後はインターネットの新しい流れであるWeb3のテクノロジーを見据えて、【既存事業を守りながら成長を続ける領域/オペレーション型】と新たなインターネットの進化と呼応した【攻める領域/プロジェクト型】の<両利きの経営>のアーキテクチャーをデザインし、日本の新しいDXコンテクストをテクノロジーで社会実装し、次世代に貢献していく所存です。

 株主を含むステークホルダーの皆様におかれましては、より一層のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

*1: Web3:ブロックチェーン(分散型台帳)上に構築された非中央集権型のインターネットを総称する際に用いられている呼称。
*2: NFT(Non-Fungible Token):代替不可能なトークン。一点物の価値をデジタルコンテンツに付与することができるトークンとして、デジタルアート作品、オンラインゲームなどの分野で実用化が進んでいる。
*3: OSS(Open Source Software):作成者がソースコードを無償で公開し、利用や改変、再配布が自由に許可されているソフトウェア。