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Investor Relations

CEO Comment Vol.82 『2025.3月期 第2四半期決算サマリー[IFRS](連結)』

連結業績はキャッシュを伴わない会計上の損失を計上も、収益基盤である決済事業は順調

本日の取締役会の承認を受けて、2025年3月期 第2四半期決算を発表しました。

Ⅰ. 2025年3月期 第2四半期決算サマリー

 2025年3月期2Q累計の連結経営成績は、収益は17,581百万円(前年同期比21.4%減)、税引前損失は12,530百万円(前年同期は8,266百万円の利益)となりました。

 当社グループの事業基盤である決済プラットフォームを軸としたプラットフォームソリューション・セグメントは、対面決済領域におけるアライアンス戦略が奏功したほか、非対面決済領域ではサービス分野が牽引したこと等から、決済取扱高が前年同期比で20%増となりました。カカクコムの持分法投資利益と新規事業群で構成されるロングタームインキュベーション・セグメントは、カカクコムの業績が堅調に推移し、持分法による投資利益が前年同期を上回りました。また、グローバル投資インキュベーション・セグメントでは、保有する営業投資有価証券の売却が着実に進捗し、投資事業収入が36億円となりました。一方で、Blockstream社において、当2Qで合計103億円の公正価値評価損を計上しました。なお、この評価損はキャッシュを伴わない会計上の損失ですので、当社の事業基盤に影響はありません。

 以下が2025年3月期第2四半期の事業進捗サマリーのスライドとなります。

また、こちらは連結業績と各セグメント利益の内訳です。

 以下のスライドは、過去のBlockstream社による連結業績への影響額と有価証券残高の推移を示しております。

 今回、評価損を計上したことで、9月末時点の簿価上の残高はすでに数億円にまで減少しており、今後の収益への影響は限りなく限定される見通しです。

まず最初に、事業のハイライトについてご説明いたします。

 QRコード決済の戦略事業である「Cloud Pay」のSquareへの実装に加え、りそなホールティングスやKDDIグループとの提携も順調に進捗しています。

1.世界最大級の決済プラットフォーム「Square」のQRコード決済に、当社の共通QRコード決済ソリューション「 Cloud Pay」を実装しました。これにより、日本国内でQRコード決済7ブランド・累計アカウント数 約2億人が利用可能になりました。「Cloud Pay」は当社が特許を有し、一つのQRコードをスマートフォンで読み取るだけで、主要なQRコード決済が利用できます。最近投入した「Cloud Pay Neo」では、最も使用頻度が高いクレジットカード決済にも対応し、新たな端末への投資が不要で、さらに幅広い決済シーンで活用できる画期的な次世代の戦略決済事業であり、あわせて日本における次世代のQRコード関連のDX普及拡大を推進していきます。こちらは、サービス概要の映像ですので、ご覧ください。

2.KDDIグループのauフィナンシャルサービス株式会社と、au経済圏における高品質な決済サービスの提供へ向け、設計・開発に着手するなど、協業開始に向けてプロジェクトがキックオフされました。

3.株式会社りそなホールティングスとの資本業務提携による協業事業も順調に進捗しています。決済領域で相互出向を通じた共同営業体制を構築するとともに、首都圏に加えて関西圏の一体的な営業を開始しています。持分法適用会社化した「りそな決済サービス株式会社」を窓口とした法人顧客向けの新たなサービス群のローンチも順次開始しています。

以上のセグメントハイライトを加えた、戦略アクションの最新アップデートスライドをご覧ください。

 また、現在のPSセグメントの事業領域別OverViewを以下のスライドにまとめましたので、あわせてご覧ください。

Ⅱ. 3セグメントの事業進捗サマリー

 それでは、3セグメントの事業サマリーと、グループ全体としてのOverviewについてご説明いたします。

<プラットフォームソリューション(PS)セグメント>

 決済を事業基盤とするPSセグメントは「イネーブリング事業群」への経営リソースの集中、戦略提携先との連携を通じた「DG経済圏」の形成へ向け、順調に伸展しています。その業績貢献は来期以降になること、また、足元の好調もふまえ、中期的にも期待し得る状況と捉えています。

 また、カカクコムや新規戦略事業群で構成されるLTIセグメント、スタートアップ企業との共創や当社グループ事業への実装を推進するGIIセグメントという両セグメントからのブリッジにより、PSセグメントの成長を加速する体制ができております。

 PSセグメントの主な事業ハイライトをご説明いたします。

 まず、KDDIグループのauフィナンシャルサービス株式会社と、au経済圏における高品質な決済サービスの提供へ向け、システムの設計・開発に着手するなど「共創連携」を伸展させており、通信キャリアのリソースを活用し、au経済圏外も視野に入れた新規ビジネスの共同開発・展開を推進していきます。

 2つ目の株式会社りそなホールディングスとの資本業務提携では、12名の相互出向を通じた共同営業体制を構築するとともに、首都圏に加えて関西圏の決済営業の強化を進めております。また、決済子会社のりそな決済サービス(DG持分法適用会社)へDGフィナンシャルテクノロジー(DGFT)の最先端ソリューションを提供することを通じ、りそなグループの法人顧客へ向けた新たなサービスとして、B2B決済サービス「請求書カード払いオンライン」や、非対面決済サービス「りそなPayResort+」などがローンチしました。さらに、中小法人向けの短期・小口のオンラインレンディングの実証実験や、次世代決済プラットフォームの開発も進んでおります。

 3つ目に、世界最大級の決済プラットフォーム「Square」に共通QRコード決済ソリューション「Cloud Pay」を実装することにより、日本国内の「Square」加盟店において、QRコード決済7ブランドが利用可能となりました。グローバルテクノロジー企業であるBlock, Inc.が運営する「Square」は、日本国内での展開を加速しており、国内加盟店数も大きく伸長しています。今後も「Square」との連携を深め、より幅広い事業者様、エンドユーザーの皆様へ貢献するサービスの提供に繋げていきます。

 加えて、多様な決済ソリューションの新規サービスとして、端末不要のキャッシュレス決済サービス「Cloud Pay Neo」が導入先を急拡大しています。本サービスはエンドユーザーのスマートフォンでQRコードを読み取るだけで、最も使用頻度が高いクレジットカード決済や各種コード決済が可能となります。現在、幅広いビジネスシーンで活用いただいておりますが、あらゆるユースケースのなかから重点領域を特定し、プロダクト開発を進めております。

 「Cloud Pay」「Cloud Pay Neo」ともに、対面領域におけるシェア拡大の一役を担うサービスとしてご期待いただければと考えております。詳細については、以下のスライドをご確認ください。

 なお、PSセグメントにおいては、マーケティング部門の組織再編を実施しましたが、フィンテック事業やEC市場を活性化させる「イネーブリング事業」として転換しつつあり、この施策も中期的な業績貢献につながるものと捉えております。

<ロングタームインキュベーション(LTI)セグメント> 

 LTIセグメントの戦略事業では、決済事業と親和性が高い「産業特化型DX事業」「B2B決済/金融事業」「次世代テクノロジー」の3つの領域を中心に新規事業の企画開発と育成を推進しておりますが、複数の案件で本格的な商用化を開始しています。戦略事業群の売上は昨年比64%増、戦略事業より生じる決済取扱高も昨年比で363%増と伸長しており、当社の事業基盤である決済プラットフォームの拡大に貢献し始めています。

 特に、不動産領域のDXサービスである「Musubell」は、不動産デベロッパーや全国の不動産会社に対して順調に導入が拡大し、昨年比で151%の売上成長と伸長しております。さらに住宅ローン審査の一括申込サービスとのデータ連携など、フィンテックにも繋がるサービスへと成長しつつあります。以下はサービス紹介の動画です。

 また、大手ドラッグストアへの本格導入が決定した、オンラインオーダーの一括管理・運用のリテールテックサービス「Pangaea Delivery(パンゲアデリバリー)」や連携先の拡大が進むB2B決済サービス「DGFT請求書カード払い」を含め、複数のフィンテック関連新規事業が、事業立ち上げのフェーズから成長フェーズへと移行し、決済プラットフォームの拡大に貢献し始めています。

 以下、スライドをご確認ください。

 カカクコムとの戦略セクター各領域における、決済を起点としたグループ連携も加速しております。訪日客向けとして最大規模となる37,700店へ展開する「食べログ多言語版」の本格展開により、インバウンド予約人数は順調に伸長し、旅行領域を含めたグループ決済取扱高は昨年比25%増と順調な成長を見せております。
 また、DGのグローバルネットワークを活用し、DG-カカクコムで海外の旅行事業者との連携を構築するなど、多角的に協業の幅を広げています。

 以下、カカクコムとの横断プロジェクトの進捗状況のスライドをご確認ください。

<グローバル投資インキュベーション(GII)セグメント>

 Blockstream社の公正価値は、暗号資産のマーケットに連動するかたちで、過去に大きく変動しておりますが、今回、評価損を計上することで、バランスシート上の残高はほぼなくなりました。また、公正価値の金額が上位の投資先においては、同社のように大きな変動が生じた投資先は過去にもありませんので、今後、特定の投資先で影響を受けることはなくなると考えています。

 また、すでにレイターステージに差し掛かり事業が安定している上位5社を除くと、地政学的にも、一社あたりの投資額・公正価値ともリスク分散されており、極めて安定的なポートフォリオへと進化しております。

 以下は、当社ポートフォリオを分析したスライドとなっておりますので、ご確認ください。

 昨年発表した中期経営計画では、当社グループが直接投資する有価証券の売却を推進し、キャッシュを伴わない公正価値評価額の変動による業績へのノイズを限りなく最小化することに取り組んでいます。中計で掲げた300億円に対して、足もとですでに見えているものを含めて150億円までの売却が決まっており、今後も中計の前倒しを目指して注力していきます。

 また、投資事業の今後の方針として、以下のスライドに書かせていただいている3点を明確化し、取り組んでまいります。

 まず、営業投資有価証券に関しては、売却のスピードを加速するとともに、りそなグループとの共同ファンドと同様、オフバランス化を進める施策を積極的に検討していきます。

 2つ目として、当社のバランスシートから直接投資を行う「オンバランス型投資」については、投資先との事業面・技術面の共創を通じて、当社事業の成長加速につながり、企業価値の向上に資するスタートアップ企業へ厳選する方針です。

 最後に、これまで当社が培ってきたノウハウとネットワークを活用した「ファンド型投資」へのシフトをより鮮明にし、連結業績への変動影響を低減させるとともに、グローバルネットワークの更なる拡大を進めてまいります。当社グループではすでに6つ、合計約300億円のファンドをGPとして運用していますが、いずれもパフォーマンスは良好であり、新たなファンドの準備も進めています。

Ⅲ. サステナビリティの取り組み

 昨今、サイバーセキュリティ対策がすべての企業における喫緊の課題となっています。当社でも、情報セキュリティの実効性を更に向上させることを目的として、代表取締役を中心とした情報セキュリティ運用体制を構築するとともに、情報セキュリティ担当役員とCISO(Chief Information Security Officer)を個別に選任しすることで、セキュリティ領域における監督機能と執行機能を明確にし、有事において迅速かつ柔軟な対応が可能な運用体制としています。

 当社は決済システムの運用に関して、国の重要インフラ事業者に指定されており、24/365におけるシステム安定稼働の重要性は、益々高まっています。今後も皆様に安心して当社のシステムをご利用いただけるよう、セキュリティ対策に気を引き締めて取り組んでまいります。

 また、環境への取組みについても積極的に進めており、今回、2030年までの温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標としてマイナス50%、2050年までのカーボンニュートラル達成を設定しました。当社の決済事業はキャッシュレスの浸透を通じて、社会全体のGHG排出量の削減に寄与しておりますが、さらに踏み込んだ取り組みを推進し、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。

 最後になりますが、当社では年内に統合報告書の発行を予定しております。
当社グループへのご理解を深めていただく一助となればと考えておりますので、ぜひご一読ください。

 ステークホルダーの皆様には、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。