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CEO Comment Vol.83『2025年3月期決算サマリー[IFRS](連結)』
PSセグメントは市場成長を上回り、利益22%増を達成。今期以降も、引き続き高い成長率を維持。投資事業ではキャッシュアウトを伴わない会計上の損失(第2四半期)を計上するも、オフバランス化が5年計画の46%達成。カカクコムや次世代事業育成も順調に推移。
本日の取締役会の承認を受けて、2025年3月期決算短信[IFRS]を発表しました。
2025年3月期の連結経営成績は、収益38,306百万円(前期比453百万円増、同1.2%増)、税引前損失10,216百万円(前期は6,298百万円の利益)となりました。
当社グループの事業基盤と位置付けるPSセグメントは、主軸の決済事業がけん引し、税引前利益が22%増加と大きな成長を達成しました。対面決済で戦略アライアンスや世界最大級の決済プラットフォーム「Square」へのQRコード決済ソリューション「Cloud Pay」実装なども寄与し引き続き高成長を維持、対面・非対面領域も市場成長率を上回り、二桁成長を継続、年間の決済取扱高は21%増の7.5兆円に拡大しました。
LTIセグメントは、カカクコムの食べログ事業や求人メディア事業の好調により、持分法投資利益は5.9%の増加となりました。なお、カカクコムからの決済取扱高も順調に推移しています。
GIIセグメントでは、第2四半期にBlockstream社の公正価値評価額の大幅減少による、キャッシュアウトを伴わない会計上の損失として、営業投資有価証券に関する損失を計上しました。他方、りそなグループとの共同ファンドへの移管が完了、投資事業収入が81億円となりました。
以下、2025年3月期決算サマリーと連結業績ハイライト-セグメント利益です。
また、主な事業のハイライトとセグメントサマリーについてお伝えします。まずは、このスライドをご覧ください。
【PSセグメント】では、グループのソリューション企業の再編、M&Aを実施し、AI時代に最適化したデジタルビジネス総合支援を手掛ける新会社「DGビジネステクノロジー(DGBT)」として始動しました。決済ソリューションを提供しグループ戦略の中核を担うDGフィナンシャルテクノロジー(DGFT)との両輪体制で、グループシナジーの最大化を目指します。
りそなグループ、東芝テック、JCB、ANAグループ、KDDIグループ等の戦略パートナーとの協業推進により成長を拡大しています。りそなグループとは業務提携の再強化について合意し、決済事業・次世代Fintech事業の強化による取扱高1兆円を目指すとともに、「BaaS/デジタル金融事業への参入を目的とした合弁設立」と、「次世代決済アプリケーションの開発」を共同推進します。また、KDDIグループのauフィナンシャルサービスとは、au経済圏に向けた決済提供の2025年中開始に向け、取組みを推進しています。
更に、QRコード決済ソリューション「Cloud Pay」については、Squareへの実装のほか、パーキング、不動産、自動販売機、JRグループなど連携先拡大に加え、端末レスが可能なキャッシュレスの未開拓領域への進出も鋭意推進しています。
最初に「中期経営計画(24年3月期-28年3月期)の進捗」のスライドをご確認ください。
当社は、中期経営計画において「税引前利益成長率」「決済取扱高」「投資事業収入」「株主還元(配当)」の4つのKPIを掲げており、単年度目標を達成しました。
<税引前利益成長率>
最初に、投資事業及びカカクコムの持分法利益を除く事業利益は、5年CAGR20%以上の目標に対し、22.2%となりました。今期もKDDIグループやりそなグループをはじめ、大型プロジェクトや当社がパテントを有するQRコード決済も高い成長率を示しており、更なる成長を見込んでいます。
<決済取扱高>
次に決済事業の重要なKPIである決済取扱高については、2028年3月期の目標15兆円以上に対し、7.5兆円となりました。今後、オーガニックな成長をベースに、大型プロジェクトを加え、今回発表させていただいた【Intelligent Data事業】も始動し、5か年決済取扱高目標の前倒しを視野に入れています。
<投資事業収入>
投資事業収入については、5年累計300億円以上としておりますが、中計初年度(2024年3月期)に56億円、2025年3月期に81億円、累計138億円(目標達成率:46%)となりました。ポートフォリオの分散化された厳格な管理によるリスク最小化と、AIスタートアップとのフィンテック事業との事業共創に注力しています。
<株主還元(配当)>
株主還元(配当)については、5年総額100億円以上を掲げており、2025年3月期については「累進配当」の方針を公表するとともに、当社設立30周年記念配当を実施することで、累計43億円となっています。また、配当による株主還元以外にも、事業の進捗状況を踏まえた機動的な追加還元を行っており、本中計期間において、既に90億円の自己株式の取得を行っています。
なお、当社は10年以上、安定的な配当・増配を行っており、2026年3月期については1株あたり47円の普通配当を予想しています。
当社グループの2026年3月期の事業戦略についてお伝えします。
「Fintech Shift 2.0」をスローガンとして設定した上で「PSセグメントを軸とし、Fintech x Intelligent Data事業領域へ拡大」を戦略テーマとして、以下スライド記載の4つのアクションを推進します。
事業セグメントごとに、2026年3月期の業績予想をお伝えします。
最初に、2026年3月期のPSセグメントの業績予想は、今後の成長性向上に向けた先行投資により下期に利益偏重します。通期の成長率/決済取扱高は、それぞれ20%以上/10兆円以上を今期予想としました。
以下のスライドをご確認ください。左下のグラフでは灰色の折線が実際の損益を示していますが、第2四半期の成長率が低く、後半にかけて高くなる想定です。その要因は、第2四半期については前年度の特殊要因の反動と開発投資(先行投資)の計上によるものです。年内を目処に決済事業の大型案件の稼働を見込んでおり、これにより上期の先行投資を吸収し、成長率20%以上の実現していきます。
次に、りそなグループとの業務提携は順調に進捗しており、この度、新たに「決済事業の更なる連携強化」と「BaaS/デジタル金融領域への進出」について合意しました(デジタルガレージ、りそなグループとIntelligent Data事業提携で合意)。
以下の3つの戦略事業を準備しています。
【①決済事業の更なる連携強化】については、顧客理解促進と支店のセールススキルセット向上の両ウィングから、劇的強化施策を準備しています。まず両社で、りそなグループの有する50万社の法人顧客にハイタッチなソリューションを提供していきます。
【②端末レス決済/次世代決済アプリケーション事業】共同で優れたUI/UXと資金管理やDX等の先進機能を備えたサービスを開発し、日本のSME市場のデファクトとなるサービスを実現します。
【③BaaS/デジタル金融領域への進出】については、加盟店データ・決済データ・商流・金流をもとにAIを活用、SMEに最適化されたBaaS/デジタル金融サービスを共同で開発し、ワンストップなサービスの提供を行います。また、アセットライトなBaaS/デジタル金融事業の共同展開に向け、当社の子会社になる予定の合弁会社設立の検討を開始しました。りそなグループの事業資産と金融知見を活用した金融事業領域への本格参入を具体化させ、当社の決済事業に次ぐ、事業収益基盤の構築に努めます。
以下、りそなグループとの業務提携強化についてのスライドをご確認ください。
DGFTとauフィナンシャルサービスは、2024年5月に業務提携契約を締結しました。両社の共創連携により、au経済圏への決済サービスの提供に向け、計画通りシステム開発及び営業活動を推進し、年内を目処にサービス提供を開始する予定です。
そして、本件連携を通じたau経済圏へのサービス提供により、大規模な新規決済取扱高の獲得、更に、両社の経営資源を融合させた新たなサービスの共同開発による収益機会の創出を図ります。これによりDGFTの決済取扱高を飛躍的に拡大させていきます。
なお、プロジェクトの詳細は別途発表する予定です。
以下、auフィナンシャルサービスとの業務提携の進捗についてのスライドをご確認ください。
前期、世界最大級の決済プラットフォーム「Square」のQRコード決済に、当社の共通QRコード決済ソリューション「Cloud Pay」を実装しました。これにより、日本国内のQRコード決済7ブランド・累計アカウント数約2億人が利用可能になりました。「Cloud Pay」は当社が特許を有し、一つのQRコードをスマートフォンで読み取るだけで、主なQRコード決済が利用できます。最近投入した「Cloud Pay Neo」では、最も使用頻度が高いクレジットカード決済にも対応し、新たな端末への投資が不要で、更に幅広い決済シーンで活用できる画期的な次世代の戦略決済事業です。
直近も、パーキング精算機、エリアの不動産事業者、飲料やゲームの自動販売機、JRグループなどへの実装拡大に加え、端末レスで先行投資が不要なキャッシュレスの未開拓領域への進出も鋭意準備中です。
著しい成長が続く、次世代のQRコード関連のDX普及拡大を推進していきます。
以下、QRコード決済の成長についてのスライドをご確認ください。
「Cloud Pay」の最新事例に関する動画を作成しましたのでご覧ください。
この春、2025年4月に「DGビジネステクノロジー(DGBT)」を始動させました。DGBTは、早くからECビジネス支援を手掛け、公開導入実績No.1のウェブマーケティング会社「ナビプラス」と、1,100サイトを超えるEC構築パッケージ採用実績を誇るシステムインテグレータ社のEC事業部を100%子会社化した「DGコマース」、そして、総合不正検知国内シェアNo.1の「スクデット」といった当社のグループ会社3社が経営統合。当社が創業以来培ってきた先端技術・マーケティング支援メソッドを融合させ、対面・非対面のデジタルビジネス事業者の成長をサポートする戦略会社です。
国内有数の決済プロバイダーであるDGFTとの両輪体制により、戦略策定から運用まで、総合的にデジタルビジネス支援を手掛けます。今後の両輪体制にご期待ください。
LTIセグメントでは、主力の好調なカカクコムグループのトラフィックや顧客基盤を活用し、「飲食」「旅行」「不動産」「HR」を戦略連携セクターと位置付けて、グループシナジーの創出を図っています。
ホテル/旅行領域の「ホテペイ」や「Time Design」、飲食領域の「食べログインバウンド予約」などの継続的な成長に加え、不動産領域では、順調にしつつある「Musubell」との様々な取り組みを具体化しはじめています。また、直近ではカカクコムが100%子会社化した訪問サービス事業者のマッチングプラットフォーム「株式会社LiPLUSホールディングス」に親和性が高い「Cloud Pay Neo」の提供を協議し、実装の準備に入っています。
引き続き、カカクコムグループとは、決済をベースとし、今回始動した次世代AI、「ProbComp」プロジェクトや、【Intelligent Data事業】等をグループとして立体的な取り組みを継続して加速していきます
インキュベーション中の様々な事業群のなかから、決済事業と親和性が高い「産業特化型DX事業」「B2B決済/金融事業」「次世代テクノロジー」の3領域を中心に、戦略的な新規事業開発を推進しています。戦略事業群全体の売上は63%拡大し、かつ、これらの事業より生じる決済取扱高も203%増加、PSセグメントの決済取扱高拡大に大きく貢献し始めています。
個別には、不動産領域のDXサービスである「Musubell」がトップランナーとして、順調にシェアを拡大しております。直近では、東京海上日動火災保険と連携し、保険代理店業務の効率化サービスを開始しました。新築、仲介、管理組合向け、また、事業者に向けての物件調査等、全方位のDX化を推進し、各事業領域の主要プレイヤーの方との提携も順調に進んでいます。また、大手クレジットカードと連携した法人向け決済サービス「DGFT請求書カード払い」では、2024年に完全義務化された改正電子帳簿保存法(電帳法)に対応した「受取請求書の管理機能」の提供を開始しました。また、オンラインオーダーの一括管理・運用のリテールテックサービス「パンゲアデリバリー」では、大手小売事業者の全国展開や、中堅飲食店等での導入が拡大しています。
以下、戦略事業の進捗についてのスライドをご確認ください。
また、非連続の戦略事業として以下のような、それぞれの事業環境の規制緩和や新法令の施行を追い風に、最先端のテクノロジー領域で、事業の最適化と拡大を図っています。
●具体的に「アプリペイ」は「スマホソフトウェア競争促進法」成立を契機に、ファーストペンギンとしてのポジションから当初の計画を超えて事業進捗し、海外の類似事業者との提携やゲーム以外の事業領域も視野に入ってきました。コンテンツプロバイダーは、30%程度の決済手数料を巨大テックに支払っていました。その手数料を適正化し、コンテンツ自体への投資へと振り向け、結果としてより良い市場形成・活性化に繋がるものと考えています。
今後、日本発のコンテンツの海外へのデリバリー、逆に海外の有力事業者のコンテンツの日本へのデリバリーなど、様々な形で活躍できるものと認識しています。
●「クリプトガレージ」は、東京短資、野村ホールディングスとの合弁会社で、法人向け暗号資産金融事業を行っています。金融事業環境の影響で計画に遅れが生じているものの、「web3事業」は堅調で、売上高は増加しています。金融庁から法人向けで最初に「暗号資産交換業登録」ライセンスを受けた、業界の先駆者として培ってきた高度なノウハウを備えており、また、今年に期待される「税制改革」や「暗号資産ETF解禁」等の規制緩和により生じる事業機会の取込みに向けて、粛々と事業基盤の強化を図っています。
次に、「次世代AIの取組み・実践的R&Dプロジェクト」として、「ProbComp(不確実性コンピューティング)」を紹介します。
ChatGPTに代表される生成AIは、私たちのビジネスや生活を大きく変えました。一方、生成AIによって誤った情報が示されるハルシネーションや、大規模言語モデル(LLM)を構築・使用するための大量の電力消費など、課題も見えてきています。当社が、共同創業者の伊藤穰一を窓口にDALab(デジタル・アーキテクチャー・ラボ)として、2021年からマサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピューター科学・人工知能研究所と共同研究をしてきた次世代AIである「Probabilistic Computing」は、これらの生成AIと融合し、信頼性と柔軟性を両立させる可能性があります。これらの生成AIの課題を補い、かつ、生成AIと連動して使うことで、信頼性が高く、活用の幅を拡大したAIの社会実装を進めていきます。
基礎研究を経て、実践的 R&Dプロジェクトとして、まずは、日本では当社が独占的なパートナーとして、2つの領域で展開していきます。第一領域が、当社の主力事業/DGFTをベースとした「Fintech」【BaaS/デジタル金融領域】。第二領域が、メディア30社以上が参画する「BI.Garage/メディアコンソーシアム」をベースとした、「Marketing」【デジタルマーケティング】。この2つの領域で戦略的な次世代事業構築に向けて実践的なプロジェクトを進めていきます(並行して、一般社団法人ProbCompとしての基礎研究活動も米国と連携し、千葉工業大学を軸に始まります)。
銀行、カード、メディア、POS、QRコードのDGFTのパートナー企業群から、保険、交通、医療、広告、行政、人流などの様々な業界の有力企業とデータコラボレーションプロジェクトや、オープンデータなどのデータパートナー、オープンソースコンソーシアムを通じ、【Fintech x Intelligent Data事業領域】での次世代AIの社会実装を推進していきます。
以下のスライドをご覧ください。
次に、GIIセグメントのOverviewです。
投資先の公正価値評価による当社の業績への影響、ボラティリティの低減を意識し、5か年計画である「中期経営計画」に設定した投資事業のオフバランス化を推進しています。
中計5か年の2028年3月期までの投資事業収入目標300億円に対し、2024年3月期56億円、2025年3月期81億円で累計138億円となりました。2年間での目標達成率は46%と、順調に進捗しています。更なる前倒し達成に向け、具体的な検討を進めています。
43%を占める大口の上位5社については、重点的にモニタリングを継続しております。他のポートフォリオについては、金額面、地域面ともに分散が効いており、個別の銘柄からの収益影響は限りなく限定される認識です。
また、現在の投資基本方針としては、「オフバランス化の加速」「ファンド型投資へのシフト」に加え、「オンバランス型投資は事業、技術連携を視野に厳選する」ことを掲げています。特に「事業共創」を意識し、投資先のスタートアップや当社PSセグメントの事業との連携を促進するため「事業共創部」を設置。フィナンシャルリターンに留まらず、ビジネスリターンの創出に注力していきます。直近も、インドの有力決済事業者「Phi Commerce」に出資参画し、DGFTとの協業を通じて日本展開を開始していきます。PSセグメントの更なる成長に向け、今後もGIIセグメントとして、戦略的/グローバルな視点で、より強い連携を実現していきます。
当社は、2024年12月に初の統合報告書として、当社グループの中長期的な価値創造の取組みについて、財務・非財務情報を体系的にまとめた『DG Integrated Report 2024』を発行しました。創業以来、時代の変化に即し最新テクノロジーを社会実装し続けてきた当社の価値創造プロセスを中心に、経営基盤や今後の成長戦略について、各担当役員によるメッセージや、具体的な事業、サービス、制度などの取組み事例、社外取締役による鼎談、財務データなどを交えて説明しています。また、ビジネス分野で3つ、人財分野で2つ、基盤分野で3つのマテリアリティを特定しており、それぞれのマテリアリティに対するKPIを設定しました。今後、伝統的な財務情報に加え、非財務情報も含め、わかりやすく積極的に透明性の高い情報発信に取組んでいきます。
テクノロジーの進化や世界の情勢が不確実性を増す中、様々な社会課題が顕在化しており、持続可能性を高める取組みがより重要になっています。当社のビジネス分野におけるKPIの達成を通じ、社会課題解決へのインパクトを創出することを目指します。また、事業を推進する人財分野、ガバナンスやセキュリティ等の基盤分野におけるKPI達成に向けた取組みを進めることにより、当社の企業価値向上を図るとともに、持続可能なより良い社会の構築に貢献します。
これらのKPIを継続的にトラッキングすることで、サステナビリティ経営の実効性を高めていきます。
以下、サステナビリティの取組みについてのスライドをご確認ください。
最後になりますが、テクノロジーや事業環境が激変するなか、DGグループの3つのセグメントの戦略的、有機的な連携を通して主力のPSセグメント事業の20%以上の利益成長を維持継続し、今期より、【Intelligent Data事業】で次世代の事業収益基盤構築を開始し、更なる成長を目指していきます。
ステークホルダーの皆様には、今後とも、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。