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CEO Comment Vol.71『新中期経営計画初年度/2021.3期 1Q決算』
本日の取締役会での承認の上、21.3期第1四半期決算短信〈IFRS〉を発表いたしました。
以上の様な、減収減益の決算となりましたが、要因を分析するとファクトベースでは以下の6つに集約されると認識しています。
1) 全事業セグメントにおいて、新型コロナウイルスの影響
2) FT:旅行関連、MT:不動産販売広告、IT:ファイナンス遅延、LTI:外食関連
3) 業績トレンドは、2020.3期4Qをボトムに回復トレンド
4) FTの決済取扱高は、前年同期比19%増の6,898億円と成長持続
5) ITの有価証券公正価値の棄損影響(減損)は、当初見込み10%が1%にとどまる
6) 中期経営計画(2021.3期~2025.3期)目標実現のための先行投資
一方、第1四半期の決算を私なりに要約すると、パンデミックによる食べログの一時的な減収、円高による為替差損、不動産広告の大幅減収、新中期経営計画の次世代ビジネスへの成長投資、に加えて、1Q期末日当日のIPO企業の初値確定が翌四半期に移行(評価益が監査ルールにより2Qにスライド)等が重なり第1四半期は大幅な減益となりましたが、コロナショックからの回復・順応、また各事業会社レベルでの最適化・ピポットにより、昨期の第4四半期をボトムに確実に回復トレンドへ向かっていると認識しています。
新型コロナウイルスによるパンデミックで、緊急事態宣言に繋がる事態を経験した前期20.3期4Q(1月-3月)から新年度入りした21.3期1Q(4月-6月)決算は、外食、旅行、インバウンド需要や不動産販売領域と当社事業セグメントにおいてMT(マーケティングテクノロジーセグメント)、IT(インキュベーションテクノロジーセグメント)、LTI(ロングタームインキュベーションセグメント)の各事業において幅広いネガティブ影響が出ました。一方でキャッシュレスやEC決済においては巣ごもり需要等の影響も大きく、FT(フィナンシャルテクノロジーセグメント)事業においては計画を上回る結果となりました。IT事業においては、当初想定していた投資先の減損リスクが限定的となりつつあります。25.3期を目標年度とする中期経営計画における成長投資期と位置付けられる今期において、前四半期をボトムに回復トレンドを示すことができました。以下、決算概要です。
21.3期1Q連結業績は、収益6,944百万円(前年同期比15.5%減)、税引前利益405百万円(同81.7%減)と大幅な減収減益となりました。収益面では、MT事業において不動産広告売上が同45%減少し、外食・移動自粛/禁止の影響を受けカカクコム等の持分法投資利益が63%減益となったことが主因となります。FT事業の収益は、インバウンド決済の減少にもかかわらず同12%増収を確保しました。
利益面では、カカクコムの減益及び暗号資産領域の子会社Crypto Garageが創業赤字を計上したことに加え、不動産広告領域の利益減、先行投資による固定費の上昇、円高による影響額約3.8億円等もあり、大幅な減益となりました。
B/S評価となるIT事業における営業投資有価証券残高(保有価値)は、363億円と3月末比横ばいとなりました。なお、IT事業においては、期末日での公正価値評価額の変動損益を認識しますが、本1Q末日上場のグッドパッチ社の初値が翌日の7/1についたため上場による評価益が2Q以降に計上される見込みです。
当社は、IFRS(国際財務報告基準)を適用しており、金融商品、特に保有投資有価証券の期末日時点での公正価値を合理的に見積もることが困難あるため連結業績予想の開示は行っておりません。一方で、新型コロナウイルスの影響については、既述の通り「外食・旅行・インバウンド・不動産」領域において影響を受けておりますが、連結業績は、前20.3期4Qをボトムに回復トレンドと認識しています。
セグメント別では、FT事業においては、主力のEC決済の堅調な伸びに加え、戦略分野である対面決済分野における多面的アライアンスによるキャッシュレス・ソリューションを提供していきます。MT事業では、不振の不動産広告分野の最適化を進め、デジタルアドの成長とポストクッキー時代における新たなメディアと広告価値の創造をテクノロジードリブンで展開していく予定です。IT事業においては、既存ポートフォリオ(363億円)の保有価値増大と戦略的R&D機能を持つDG Lab Fundを併せて、投資先の事業成長を支援するインキュベーション成果を実現していきます。
■ FT事業: <インバウンド決済減少もEC決済好調 ~成長インフラ投資継続~>
KPIである決済取扱高は、前年同期比19%増の6,898億円と好調が続いています。
収益は同12%増の23億円、税引前利益は同4%減の10億円となりました。インバウンド消費及び旅行、百貨店等の決済が大幅に減少しましたが、巣ごもり需要によるECやデジタルコンテンツの決済が好調に推移しました。
中期経営計画(2021.3期~2025.3期)の目標数値である年率20%の利益成長のためのインフラ関連投資及びオフィス統合コストを計上したため税引前利益は、同4%の減益となりました。2025年の決済取扱高10兆円(20.3期2.6兆円)を見据えた戦略投資となります。さらに決済周辺領域 (マーケティング、セキュリティ、データ活用)への展開も進捗しています。
■ MT事業: <デジタル広告堅調も、不動産販売広告の取扱いが大幅に減少>
1Qにおける広告取扱高は、前年同期比11%減の73億円となりました。主力のデジタルアドは横ばいを維持しましたが、不動産広告が営業停止等の影響により同43%減と不振となりました。このため、MT事業の収益は同1%減の33億円、税引前利益は同46%減の1.8億円となりました。広告取扱高は減少も、金融セクター向けCRM・ソリューション分野は引き続き好調に推移しています。既存広告領域については、年内での最適化を進め、成長領域であるコンテンツ、データ、クッキーレスをテクノロジードリブンで新たなマーケティング戦略の展開を進めます。
■ IT事業:<パンデミック後の投資先の状況を精査した結果、減損リスクは限定的>
1Qにおける投資環境は、グローバルなリスクオフモメンタムとなり、株価バリュエーションが上昇する環境ではありませんでした。パンデミック後の投資先の状況を精査した結果、減損リスクは限定的と評価しています。新型コロナウイルス感染拡大による影響額が最大10%程度と見込んでいましたが、全ポートフォリオに与える減損影響額は1%程度と予測の1/10程度にとどまっています。
DGの保有ポートフォリオの公正価値は、3月末比約5億円増加しました。減損額及び為替による目減り額を差し引き、収益として4億円を計上することができました。今後の戦略として、After/Withコロナ時代における投資インキュベーションの注力グローバルリージョンとして、中国からのシフトで活性化が見込まれるアジア、特に日本、インド、ベトナム地域に注力し、事業セクターとしてヘルスケア、Fintech、AIに注目しています。
■ LTI事業: <食べログの料金無償化と新規暗号通貨事業の本格始動>
LTI事業は、投資先株式の継続保有及び新規の事業開発による事業利益の長期的な成長を目指すセグメントです。カカクコムの業績は、新型コロナ禍での食べログ事業の料金無償化等により、税引前利益が前年同期比66%減少したこと等もあり、当社の持分法投資利益も同67%減少いたしました。また、2019年に金融分野第1号となる規制のサンドボックス制度の認定を取得し、「SETTLENET」を活用を通じ円建てトークンの発行及び暗号資産の同時決済サービスの実証実験を開始していたCrypto Garageは、国内外複数の取引事業者との接続が完了し、暗号資産と日本円資金を同時決済する商用サービスを6月に開始致しました。グローバルマーケットに日本から発進する新たな次世代金融事業が本格稼働しました。
ESG領域では、取締役 共同創業者の伊藤穰一やリード・ホフマンらがグローバルで立ち上げたNPOと連携し、海外と日本の有識者、企業、教育機関等を立体的につなぎ、COVID-19に向けたプロジェクトなど、New Normalを創り出す社会貢献型のプロジェクトの支援・推進を本格的に開始していきます。
また、日本初のシードアクセラレータープログラムであるOpen Network Labが10年目に入り、7月に10周年記念とし、我々の10年間のノウハウを惜しみなく注ぎ込んだ
書籍「Pitch 」(https://onlab.jp/pitch)を出版いたしました。アマゾンではカテゴリーでNo.1の評価を頂いているようで、次の世代に続く起業家のみなさまが新しい未来を切り開くための一助となれば幸いです。
今まさに、DGがグローバル規模の様々なパートナーと連携を加速させ、動的平衡(Dynamic equilibrium)と不偏不党(Neutrality)を保ちながら、継続して国際社会に役立つコンテクストを創造していくときだと、再認識しています。創業当時より変わらず、今後もコンテクストカンパニーとして、中長期的な視野を持ち、「Designing our New Normal Context」のコンセプトのもと、継続してグローバル社会に貢献して参りたいと思います。
株主を含むステークホルダーの皆様におかれましては、より一層のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。